- | HOME |
悼む人
- 2009/06/20(土) 21:56:33
直木賞作品『悼む人』を借りた。
新聞や週刊誌で知った人々の死を訪ね歩いて、
死者を悼む青年の物語。
不慮の事故や事件に遭って亡くなった人。
誰にも看取られず孤独のうちに旅立った人。
そんな人々が亡くなった場所を訪れては、
「その人は誰に愛され、誰を愛し、どんなことで感謝されたのか」
と、その人の生前の話を聴いて悼む。
そして、こういうかけがえの無い人が居たということを記憶する。
どんな死に方をしたとか、何が原因だったのかとかではなくて、
あくまでもその人の価値ある人生を悼む。
どんな評判の悪い死者に対しても、わけへだてはない。
彼は、死者が
「愛した人、愛された人、誰かに感謝されたこと」だけを見つめる。
彼の行動は傍目にはちょっと危ない。
時には迷惑がられ、不審者と思われる。
しかし、彼を通して人生に光を見出す人々も現れる。
こんな自分のことも、この人だけは必ず悼んでくれるのだ・・・と。
この小説を読んでいて、昔、ある神父さまから聞いた言葉を思い出した。
「人は皆、愛されて生まれてきたのです・・・」
Sr.ぱうろ
- 読書
- | comment(2)
この記事にコメントする
- | HOME |
この記事に対するコメント
初めまして。
時々、ブログを読ませていただいています。
感謝です。
必要とされ、愛され、愛するために人は生きている。
大切な人を大切だと気づかず、亡くしてからわかったり、離れてから気づいたり。
なんて愚かでしょうと思います。
高々プライドを傷つけられたからと、一日中落ち込んだり。
なんて愚かでしょう。
ここのホームページを拝読すると、教会を訪れたような気持ちになります。感謝です。
Re: マリアひでママ 様
はじめまして。
コメントありがとうございます。
小説の「悼む人」でもそうなのですが、身近な人のことはありがたさよりも腹の立つことの方に目が行ってしまうことがありますね。
ところが「悼む人」は、その人の美しい部分にスポットライトを当てようとします。
「悼む人」に出会った人々は、自分に辛い思いをさせた死者を赦すことを学び、解放されます。
すばらしいことだなあと思いました。