- | HOME |
お見送り
- 2023/04/22(土) 21:51:30
約一年、ガラシア病院ホスピスに入院していたシスターが天国に帰っていった。
同じ共同体で病院内に職場があった関係で、
私は備品の補充や差し入れのためにたびたび訪問していた。
入院中はデイルームでコーヒーをいただいたり、
庭を散歩したり、
お誕生日には職員の皆さんからのメッセージカードを受け取り、
クリスマスには聖家族の病室訪問を受け
(マリア様、ヨゼフ様、天使に扮した職員が幼児イエス様のご像を抱いてやってくる)
桜が満開のときには建物の外まで車いすでお花見に連れて行っていただき・・・。
一年間ホスピスの生活を堪能されたと思う。
ときどき「今度こそ天国に行かれると思ったのに」とこぼされたのは、
死ぬほどの苦痛も味わわれたのだろう。
明るくてよく話すシスターだから私は
「そんなにしゃべれるうちは天国は遠いですよ」と笑った。
主治医の先生も看護師さんたちもチャプレンの神父さまも、
皆さんとても優しく気遣ってくださったから
幸せな闘病生活を送られたと思う。
看取った後、看護師さんや先生から
「ぽっかりと穴が開いたようで、私たちも寂しいです」
「ああいう穏やかな人が一人ホスピスに居るといいのだけどねえ」と
惜しんで頂いた。
「いつも笑顔で感謝の言葉を下さるので励みになります。」
「シスターに癒されています」という言葉が
誕生日のメッセージカードには残されていた。
シスターもまたお世話して下さる方々を幸せにしていたのだ。
たとえ寝たきりになっても誰かを幸せにすることはできる。
シスターの最後の日々はそう教えてくれた。
いつか読んだアベ・ピエールの伝記に忘れられない言葉がある。
「見えなくたって、働けなくたって、
食事を運んできてくれる仲間にありがと、って
ニッコリすることはできるだろ。
それで相手も、生きていることがうれしくなるんだ。」
- 天国
- | comment(0)
この記事にコメントする
- | HOME |
この記事に対するコメント