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死者の月の終わりに・・・

  • 2018/11/30(金) 21:11:46

11月はカトリック教会では「死者の月」
冷え込んでくる季節柄か、実際この時期に帰天する方も多い気がする。
ガラシア病院の3階と5階はホスピスなので、
11月に限らず、たびたび、お見送りがある。

ときに信者ではないけれど
ガラシアのチャプレンにお通夜、お葬式を頼みたいという方がいらっしゃり、
聖歌を歌うために病室や「やすらぎの間」にうかがうことがある。
つい最近も「聖歌を歌う」ために、ほとんど面識の無い患者さまの所にうかがった。

ご家族の方々の話をお聞きし、
その方が人生のしめくくりをガラシアで過ごされたことを喜ばれていたと知り、
うれしくなった。

一方で、私の両親は最期のときを心残り無く過ごせたのだろうかと不安にもなる。
これからも身近な人(シスターとかシスターとかシスターとか!?)を
見送る機会が多々あるだろうから、
人生のしめくくりを幸せに過ごしてもらえるように心がけないと。
・・・と、死者の月の終わりにあたり思った。

そして今日、亡くなったシスターの遺品を整理していたあるシスターから
「使えるものがあったらどうぞ」と言われ、物色したところ
工作や手芸の道具がざくざくと出てきた。
凝ったクラフトパンチやグルーガン、クリスマスのデコレーション・・・。
中には以前から「あるといいな」と思っていたものも混じっている。
生前もお世話になったけれど、天国に行ってからも気遣ってくださるとは・・・。

いつか天国で再会したら、全力でお礼を言わなければ。

映画の秋

  • 2018/11/18(日) 11:58:35

先月から読書ならぬ映画の秋を過ごしている。
樹木 希林さんの遺作「日々是好日」
大杉漣さんの遺作「教誨師」
そして「パウロ~愛と赦しの物語~」

「教誨師」は死刑囚によりそう牧師が主人公。
いつ訪れるか分からないその日まで、
様々な葛藤を抱え、孤独のうちに生きている受刑者たちの話を聴く。
6人の受刑者は年齢も性格もまちまちで一筋縄ではいかない。
「どうしてこんな良い人が・・・」という受刑者も居れば、
さっぱり反省の色もない受刑者も居る。
忍耐と包容力が大いに必要な大変な仕事だ。


一方「パウロ」では孤児や未亡人などの、
弱い立場の人々によりそうキリスト教徒の姿が描かれていた。
この映画の主人公は福音記者であり「使徒言行録」を書いたルカで、
牢獄にありながらキリスト教徒たちの支えとなっているパウロを描いているのだが、
その彼らの背後に居るアキラとプリスカの夫婦が良かった。
この二人の名前は聖書にもたびたび出てくる。
パウロと同じテント職人で、命がけでパウロを助けたことがあると。

映画ではプリスカが皆のお母さん的な役割を担っていた。
「この絶望の街で私たちは唯一の光」という彼女のセリフが心に残っている。
弱肉強食の社会にあって、
キリスト教徒の生き方はローマ人の目には奇異なものに映る。
孤児を引き取り、未亡人を支援し、病人を見舞う。
社会的弱者にとっての「光」となる。

今日は「貧しい人のための世界祈願日」
貧しさにも色々ある。
弱い立場の人々に寄り添う姿を描いた二つの映画に
キリスト者のあるべき生き方について考えさせられた。

さらに巡礼

  • 2018/11/02(金) 21:03:46

今年最後(多分)の巡礼は堺。
今年は大阪教区再宣教150周年という記念の年。
禁教令が解かれて再びカトリックの宣教が始まってから150年ということ。
教区内のいくつかの教会が巡礼指定教会となっていて、
私たちの共同体では、その中のどこかに行きましょう!ということになった。

私たちのグループは堺教会を選んだ。
まず堺というのは、こんなときでも無ければ行く機会が無い。
少なくとも私たちのグループでは誰も行ったことが無かった。
加えて堺といえば「千利休」である。
利休の弟子には、高山右近
蒲生氏郷といった切支丹大名がおり、細川ガラシアの夫である忠興も居る。
茶道の作法はカトリックのミサから影響を受けたという説もあり、
決して私たちと無縁な人物ではない。
私自身が長年、裏千家の茶道を習っていたので、
いつか行ってみたい土地だった。

事前に調べたところ、堺の見所は実に多彩で、
堺出身の著名人には与謝野晶子もおり、
刃物、香、とろろこんぶなどの伝統産業もあり、
仁徳天皇陵をはじめとする古墳が多数点在している。

・・・というわけで、こんなコースを計画。

堺教会→市役所(展望ロビーから仁徳天皇陵が見える)→
利晶の社(利休と与謝野晶子について学べる)→利休屋敷跡
→ザビエル公園→堺伝統工芸館

堺教会は94年もの歴史があるそうで、
聖堂内は美しいモザイクで彩られ、一見の価値あり。
利晶の社では立礼(りゅうれい)の席で抹茶をいただき、
憧れの利休屋敷跡に立った。
残念ながら時間が押してしまったので、ザビエル公園は横を通るだけにして、
最後に伝統工芸館で堺の物産を眺めてきた。

ザビエルについては利晶の社でも紹介されている。
コースの中にあるザビエル公園というのは、ある豪商の屋敷跡だそうで、
その豪商がザビエルを手暑くもてなしたことから、この名前がついたそう。

他にも堺には古い商家や利休ゆかりの寺院など、
様々な見所があるようなので、いつか再訪したいと思う。