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日本語の時間
- 2013/11/07(木) 22:17:12
週に一度、ブラジル人の志願者に日本語を教えている。
何しろこちらは超片言のポルトガル語しか分からないので、
複雑な文法は説明できないし、ちょっと込み入った説明も出来ない。
そこで考えたのが
①日本語の歌から入る。
②イラストで説明する。
まずは①を思いつき、
修道院にCDのあった「世界にひとつだけの花」を教えようと思ったが、
歌詞を読むところで挫折してしまった。
次に②を思いついて何とか軌道に乗ってきた。
修道院には日本語の勉強用プリントもたくさんあったが、
私は「教えるためのテキストは自分で作りたい」ので、
コピーの裏紙に絵を描いて、
ひらがなで日本語の単語名を書くことにした。
黒板にはひらがなの五十音とローマ字の読み方の一覧を書いた。
なにしろ文字からして特殊だから、慣れて貰うしかない。
教えるという作業は非常に気を遣う。
にもかかわらずテキストを作る段階は楽しくてたまらない。
実は私は教えるのが好きなのかもしれない。
それにしても日本語って厄介だ。
いざ教えようとして愕然としたのが、物の数え方。
一つ、一個、一番、一日(ついたち・いちにち)…。
同じ「一」でもいろいろな読み方がある。
さらに敬語、謙譲語などは日本人でも使い方を間違える人が居る。
にもかかわらず、思ったこと。
日本語って美しい。
私は日本語が大好きだ。(もと国文科)
特に自然を表現する言葉の多彩さには感動する…。
歌謡曲の中にも普段は使わないけれど美しい言葉が満ち溢れている。
季節外れで申し訳ないけれど、
教材に使えたらいいなあと思った美しい歌のひとつがこちら。
じっくり歌詞を味わっていたら、
ふと最近亡くなった先輩シスターたちの姿が脳裏に浮かんだ。
人生を卒業する時にもふさわしい歌ではないかと思う。
さくら、さくら、ただ舞い落ちる
いつか生まれ変わるときを信じ、
泣くな友よ 今惜別の時 飾らないあの笑顔で さあ
桜の季節とは限らないけれど、私の葬式にはこの歌も歌ってほしい。
そういえば、その昔、西行が桜のもとで死にたいと詠んでいた。
願わくは花のもとにて春死なん そのきさらぎの望月の頃
美しい満月に照らされる満開の桜。
月光の中、静かに散りゆく花びらのように逝かれたら最高だと思う。
美しい日本語の背景には美しい四季があるのだ。
季節の変わり目は体調を崩しやすいというリスクもあるけれど、
桜も紅葉も四季があればこそ。
Sr.ぱうろ
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